日経記事 私の「情報思考法」を読んで

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 非常に面白い記事。短いが、読めば読むほど味が出る。情報化が当たり前になった将棋界はどう変わったか。また情報化にどう棋士は対応するか。情報格差問題は大きいが、逆に情報化により創造性が失われているのではないか。
 こういった問題はそのままネット社会に暮らす我々に当てはまる問題であり、この文章から得られるものは大きいだろう。
 創造には2つのタイプがあり、創造的破壊型と温故知新型の2つを羽生二冠は挙げている。記事では前者の例としてスティーブ・ジョブズを挙げているが、将棋なら升田、藤井九段あたりだろうか。時代とは関係なく革命的な発想を持つ天才タイプと言える。
 この文章のテーマである情報化時代においては優れた歴史家であることに創造の可能性があるとして、若手による升田式石田流の復活を挙げ、情報化により得られた知識をどう活かすかが発想のヒントになり得ることを示唆している。
 
 もう少し記事に分量があれば羽生二冠が具体的に情報をどうやって得ているのかなどを知りたかった。ものすごい忙しいはずなのに最新研究についていけてるのは何故なのか。アシスタントでもいるのかな。

 以上感想。以下の部分がちょっとわからなかった。

 3つ目はフロンティアは永遠にあるのか? という点です。

 無限にあれば迷い無く情報化は進められますが、有限だと思えばそこに迷いやためらいが生じます。

 将棋の世界では未開の新作戦を見つけたとしても少なくとも2カ月くらいあればきれいに開発をして多くの人が訪れる(指すことができる)状態になります。

 将棋界が情報化によってどう変わったか、前2つの話は画一化、均一化、発想力の低下、と情報化によって将棋に独創性とかオリジナリティが失われていく問題でそれはよくわかる*1
 ただ3つ目のこの部分はどういう意味なのか、新天地が無限か有限かという話と、情報化により研究のスピードが速くなってすぐ定跡化されるという話の関連が何だかはっきりとはよくわからない。うーん。
 まあなんとなくはわかるけど、なんかすっきりしないなあ。どういうことかな・・・

 こういう一般向けの棋士インタビューは面白いので、次は藤井九段あたりをインタビューして欲しいな。タイトルは「情報化社会の発想法」とかで。

*1:前はコピー将棋とか言われてたような・・・今言わなくなったよね。