ライブラリ使用のルール

自分は電王戦からのにわかコンピュータ将棋ファンなのでこういうルールがあったということを今回はじめて知りました。

http://www.computer-shogi.org/wcsc22/rule.html
(予選・決勝の方式)
第17条
4. 第4条第3項に定める申告を行った参加プログラムにおいて、プログラム開発者以外の者が開発者として含まれている使用可能ライブラリを使用すると申告している場合、その予選通過数が制限される。制限は使用可能ライブラリの種類ごとに行われ、一種類ごとに、1次予選、2次予選とも、それぞれ2プログラムまでが通過できる。これらを超える場合は、その代わりに次点のプログラムが繰り上げ通過となる。

決勝に残るのがボナンザライブラリ使用のプログラムばっかりになるのを避けるため、ということらしい。
コンピュータ将棋の世界はなんでもありのオープンな場だという思い込みがあったけど、ちゃんとルールによって規制して方向性を定めているんだなあ。

ボンクラーズ伊藤氏のライブラリ制限反対記事。
ご提案:ライブラリルール改正の件: A級リーグ指し手1号

私は、コンピュータ将棋選手権は「将棋の強さを競う場である」と捉えています。その立場からすると、ライブラリを使用してるかどうかなんて全く関係なくて、とにかく「盤上で強い者が勝つ」が正しい姿だと信じている。それ以外の将棋に関係ない部分で、強いのに決勝に行けない、なんてことがあるのは絶対おかしいと思ってます。神聖なる将棋に対する冒とくである、と正直怒りすら覚えています。

ある人たちは、コンピュータ将棋選手権を「将棋で競う場」でなく「プログラミング能力を競う場」と捉えているようです。プログラミングコンテストみたいなもの、というわけです。私自身はプログラミングコンテストには全く興味がないし、プログラミング能力を競うつもりもないので感覚がよくわからないのですが、たしかにそういう観点からすると、他人の書いたライブラリをそのまま流用するというのはルール違反と思えるのかもしれません。

世界コンピュータ将棋選手権・オープンな価値との葛藤 | スラド

これまで19回開催された世界コンピュータ将棋選手権では、思考部を自作することが出場の条件になっており、開発者はひとつのチームにしか加われないことになっている。これは例えば、同一のコンピュータ将棋ソフトウェアの複製が多数出場することによって一定の順位を占めてしまうような状況を防ぐために設定されているルールである。ある意味で当然のルールともいえるが、一方でオープンな技術の普及を妨げ、いわゆる「車輪の再発明」を招く側面もないとはいえなかった。

車輪の再発明」という言葉が非常に面白いです。難しい問題だと思います。